〈カラスと枯れ枝〉****2月28日 (金)
枯れ枝にカラス。
似合いすぎて、ことさら採り上げるには勇気がいる。
枯枝に烏のとまりたるや秋の暮れ
芭蕉の句だ。芭蕉としては、平凡すぎて、観念的すぎて駄作に属するのではないか。
それにしても、葉を落とし尽くした枯れ枝に、ただ一羽群を離れて、とまるカラスは孤独だ。カラス自身その孤独を知っているだろうか
〈カラスのなる木〉****2月27日 (木)
日が長くなるにつれ、カラスたちのご帰還も遅くなってきた。
五時十三分。
本日、最後の群が帰ってきた時間だ。
夕暮れのシルエットのなか、枯れ木の森に、カラスたちが鈴なりになる。
カラスは本当に卵から生まれてくるのだろうか?
いや、いや。あんなに黒くて、あんなに不気味なものが、白くて丸い卵から出てくるはずがない。あれは、冬の枯れ木に実るんだ。少なくとも、そう言われる方が、本当らしく思われる。
そんな、光景だ。