出版の方法は大きく二つに分けられます。
ひとつは、版権を売る、ということ。すでに日本で出版された本の版権を中国の出版社に売ります。一般に一冊日本円で15万円程度が基本とされています。あとは、中国の出版社が中国語に翻訳をし、自分たちの手で流通に流します。版権を買ってくれる中国の出版社をどうやって探すか。ここがポイントになります。
もうひとつは、論文や文章を自分で印刷をし、自分で流通に乗せる、という方法です。
手順としては:
- 中国語に翻訳をする
- 適切な中国の出版社を探し、出版のライセンスを借りる
- その出版社経由、当局の審査を経る
- 印刷をし、製本をする
- 本を流通業者に持ち込み、全国の書店に流してもらう
- 本の代金を回収する
ライセンス獲得のための出版社の選定、流通・代金回収のための流通業者の選定がポイントになります。
このために掛かる費用の現時点での相場は次の通りです。
ライセンス料:10,000元
審査料:5,000元
翻訳料:1,000字毎に300元
印刷費:頁数、発行部数によって異なります
- 「版権を売る」ビジネス分野においては、日本の出版社に代わり、版権を買ってくれる中国の出版社を探します
- 論文や文章を中国で出版したいと考えておられる方のためには、ライセンス取得から翻訳、印刷、流通業者への売り込み、代金回収までトータルにお手伝いいたします
中国での本の出版に関心のある方、是非、一度メイルでご連絡ください。
宛先は和田までお願いします:wada@tabichina.comです。
出版された本が街の書店にまで流通してゆく仕組みは大きく分けて二つあります。
- 小売りの書店が国営の場合:
新華書店経由全国へ卸されます
- 小売りの書店が民営の場合:
一次卸、二次卸を通じて店頭に並びます。
例えば、北京には「北京図書卸売り市場」があります。ここには一次卸の業者が何十社と軒を並べていますが、ここは地方の二次卸の業者や北京の小売りの店の人たちなど、売れそうな本を探しにくる人々でごった返しています。
ですから、本を上手く中国全土に流通させるためには、新華書店、一次卸の双方に有効なコネクションをもっていなければなりません。
書店での一般的な売れ筋、ということもあるでしょうが、ここでは、むしろ、「日本人が書いた本」という観点から見る方が正解に近いでしょう。
逆に言うと、中国人は日本の何に関心があるか、ということです。
- 企業あるいは企業人として:
市場経済が進行するなかで戦後の日本の成功につき熱い関心が寄せられています。その意味から、「企業マネッジメント」「労務管理」「生産性向上」。こういったテーマの書物は、日本の成功の秘密を知りそれを活用したいという要望から確実に求められています。
- 個人として:
現代の中国の人々、特に若い人々がどのように日本を知り、どのように日本に関心を持っているかというと、それは多くの場合、テレビドラマやテレビ漫画、映画を通じてみた日本と言うことです。
そこで見られる流行、生活様式を自分も実現したい、という気持ちを持っています。
そういう意味で、日本のファッション・美容・化粧、部屋の内装、音楽、映画さらには犬の飼い方などに強い関心があることは間違いありません。
実際に中国で本を出版された方がおられます。そのうちのひとり、鈴木勝さんにお話しを伺いました。
鈴木勝さんは大阪明浄大学観光学部の教授です。出版された本は「国際旅游振興論」。鈴木さんはJTBで30年の旅行実務の経験を持ち、その間、シドニー支店次長、北京事務所長、JTBアジア日本支社長などを歴任しています。その経験と研究をもとに、アジア太平洋地域での観光をいかに促進させるか、ということを論じたのが今回のご著書です。
──出版社は「中国旅游出版社」という会社ですが、もともと知り合いがいらっしゃったのですか?
「北京で四年間も旅行関係の仕事をしていましたし、その点では恵まれていました。中国旅游出版社の社長とも顔見知りでしたし。」
──最初、どんなふうに話を持って行かれたのでしょうか?
「国際間の旅行の振興策に関する本を出版したいと言ったところ、中身の概要を出して欲しいと言われまして……それを見て検討をしたいと。彼らが言うには、先ずは、出版する価値があるかどうか、更には、価値があるとしても売れるか売れないか、そういう観点から、三通りの答えがあり得ると……。ひとつは、彼らの負担で出版をする。二つ目は、自費での出版にしてもらう。三つ目は、出版は無理である。」
──なるほど。本の出版も市場経済になっているのですね。それで、どうなりま
した?
「あなたが経費を負担する形の、自費での出版でよければ出版しましょう、ということでした。印刷、製本、彼らのチャネルを使っての流通、そういったものは彼らがします、と。」
──失礼ながら、いくらぐらいかかるものなのですか?
「私の場合、ページ数が137ページで、発行部数が二千冊です。それで、日本円で約45万円です。中国語への翻訳は別に友人に頼みましたのでその分は入っていませんが。」
──そんなに高いわけではないですね。
「ただし、売り値が10元なのですが、売れても印税は入ってきません。もっとも印税といっても、一割もらっても、日本円で15円にもなりませんが。」
──反響は如何でしょう?
「旅行関係の中国の友人からのメイルで、本屋で鈴木さんの本を見て買いましたよ、なんていってもらえるのは嬉しいですよね。数から言えば、一般的な内容ではありませんしそんなに沢山売れるというものではないでしょうが。」
──どうですか。お金もかかるわけですが、中国で本を出版して好かったとお思いでしょうか?
「勿論です。国際学術学会で知り合った中国人の教授に贈り自分の主張をより理解してもらったり、日本では大学院の留学生に贈呈したり……。本を贈るというのは、研究者として特別な意味があると思います。何と言っても出版というのは、中国の社会に「公」として広く発言をするということですし、逆に中国からすれば、「公」として発言することを認めたということですから。
また、専門の観光学分野の書籍は中国には多いのですが、著者は中国人または欧米の翻訳本ばかり。日中間の観光交流が盛んなのに、なぜ、日本人の書籍がないのだという気持ちがありました。今回は中国進出の最初のステージです……」
──なるほど。第二弾、第三弾を出していこうと。有り難うございました。
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