<偽書という冗談>
偽書というものがある。偽作した書物のことだ。これをニセモノと言えるのかどうか? ホンモノかニセモノかと言えば、勿論、ニセモノである。偽書というくらいであるから。ただ、今まで述べてきた海賊版のCDやニセ札とは大分趣を異にする。海賊版のCDやニセ札は、ホンモノをコピーしたものだ。偽書というのは、実際にはない書物を造り出すということ、あるいは、実際にある書物に何かを書き加えてしまうということ。その意味では、創作である。ただ、自分の名前を使わずに他人の名前で書く。 盗作というルール違反には、どこか、陰湿さが伴うとすれば、偽作というルール違反には冗談が伴う、と言ったらよいだろうか?
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