昨日までの穏やかな日和が何かの間違いであったかのように、一日冷たい風が吹きまくった。寒い。風がまだコートを羽織っていない身を刺す。それでも外を歩いてみる。道を歩いていると降るように枯れ葉が落ち掛かってくる。カサカサカサと乾いた音がする。立ち止まり、手を挙げて全身で葉を受けてみたい衝動に駆られる。映画の一場面のようだ。 槐も楡も柳も楊樹も、アッという間に葉を落ち尽くし、街は蕭々たる姿に変わる。 人々は背を丸めて急ぎ足に行き過ぎる。気温は今でも二、三度だろう。夜にはマイナス五、六度になるだろう。この同じ場所で、蝉がうるさいほどに鳴いていたのは、ほんの、数ヶ月前なのに。同じ木々が白い葉裏を見せながら風に揺れていたのは、ほんの、数ヶ月前なのに。 何か、夢みたいだ。 いや、逆に、夢から覚めたみたいだ、と言うべきか。