昼前に雪は更に強くなった。風も更に冷たくなった。顔に雪片が当たるのを痛くも冷たくも心地よくも感じながら当てもないまま街を歩いた。 いつの間にか、いつもよく来る、屋外の自由市場に来ていた。塀に囲まれた一角なのだが入って驚いた。普段と変わらぬ賑わいがあったからだ。敷地は真っ白に雪が積もっている。売り手の頭にも雪が積もっている。買い手は寒そうに震えている。それでも、そこを満たしている活気は、いつもの変わらない。 野菜を売る声。魚を売る声。肉を売る声。果物を売る声。そして、値切る声。雪は降り募る。野菜の上にも冷凍の魚の上にも止むことはない。売り手の頭にも、買い手の頭巾にも。売り手の濁声、買い手の値切る声。吐く息は白い。それでも、ネギや魚を間に置いて両者の間でスパークするエネルギーはいつものと変わらない。売る方は少しでも多く売りたい。買う方は一円でも安く買いたい。そうだろうとも。 なかなかたいしたもんだ。