* 北京胡同物語・毎日がお祭り……天橋の夢 * |
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<遊子家を憶わず>
酒旗戯鼓天橋市 多少游人不憶家
酒屋の旗がはためき、芝居小屋の太鼓の音が響く
清末から民国にかけての詩人、易順鼎の《天橋曲》の一節である。洛陽の人。この地へ漫遊に来て、彼は驚く。眼に見たものは、路の両側に先の先まで連なる「酒旗」のはためきであった。耳に聞いたものは、胸を高鳴らす「戯鼓」の響きであった。出会ったのは柳腰の妓女たちであった。何という賑やかさ。何というあでやかさ。洛陽の鄙では想像もできない心の高揚。魂を奪われ、夜も日も上げず天橋の入り浸ることになる。そして、なしたのが《天橋曲》だと言う。
「多少游人不憶家」。
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