いつの間にやら、北京の街にも歩道橋が増えた。道路が整備され、車時代に入ってきたのだ。とはいえ、できた当初は歩道橋を渡る人なんかいなかった。みんな、道路を横断していた。車がビュンビュン飛ばすなかを、サッサッと、ドッチボールの球をかわすように身体をひねりながら渡っていた。
　ボールに当たる子がいるように、車に当たる人も大勢いたのだろう。道路の中央に一メートル五十センチほどの鉄の柵を作った。合わせれば何十キロにもなるだろう。作る方はエライことだ。それでも、「これぐらいでへこたれてなるか！」、とその柵を乗り越えても渡る人がいまだに絶えないのは、これまたエライことだ。

　さて、その歩道橋だが、人々が利用し始めるとその使われ方に中国らしい特徴が出てきた。それが面白い。どういうわけか、物売りが橋の上に並んでいる。野菜、お茶、豆腐、駄菓子、本。夕食の買い物に市場に行こう橋を渡ると、市場に行くまでに橋だけで用が足りちゃう……というのは少し大袈裟か……。

　それにしても、なぜ、歩道橋に物売りが集まってくるんだ？……