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* 北京・街角の歌ごえ *


<市場(2)>

 牛や豚ばかりでない。鶏の売場もなかなかに見応えがある。

 籠に生きた鶏が入れてある。雄か雌か? 大小は? 元気はいいか? 買い手は慎重に品定めをする。売り手は、先ず、選ばれた鶏の重さを測る。
「3斤」。
 ここからは手早い。バタバタと暴れる鶏の羽根を抑え、喉を切る。血が出る。まだしばらくは羽根を動かし藻掻いているが、じきぐたっとなる。それを、沸かした鍋に入れる。頃合いをみて鍋から取り出し、サッサッサッサッ、と羽根を剥く。
「一斤七元で二十一元」。
 さっきまで動いていた鶏は、綺麗な裸になって買い手に差し出される。
 この間、約十分。ショウのように手際がよい。手品のように鮮やかだ。

 選ばれ、茹でられ、金が渡される。すると、生き物がいつの間にか、食べ物に変わっている。すごく不思議な気がする。不思議な気がするが、目の前で当たり前に繰りかえされていることはそういうことなんだ。
 前に、北京の市場の様子を「ダイナミック」、と言った。鶏の売場にしばらく立っていると、もうひとつ別な言葉が浮かんでくる。「ここでは、生の営みが余りにあからさまだ……」。こんなふうに言ったらよいだろうか。


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