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* 北京・街角の歌ごえ *


<足裏マッサージ>

 足裏マッサージの看板が目に付くようになって二年近くになるだろうか。今でも増え続けている。北京で、五百軒や六百軒あるのではないだろうか。
 ほんの五、六年前には思いも寄らぬ現象だ。
 ひとつには、人々が享楽を求めるようになったこと。夜は寝るものだった。あるいは、家族が集まってテレビを見るものだった。それが、快楽を求めて夜の街で出るようになった、と言うことだ。
 ふたつには、サービスを提供する人々が出現したこと。地方から職を求める出稼ぎの群れが大挙して都会に押し寄せ、サービス業に身を投じるようになった、と言うことだ。
 この店の女の子は全員、河南省から連れてきたという。昨日までスキやクワをにぎり大地を耕していた頑丈な手で、ギシギシと揉んでくれる。約一時間。苦痛と、足が壊されちゃうのではとの不安に満ちたなかなかにスリリングな時を楽しめる仕組みになっている。料金は138元(一元は約15円)。

 ただ、その筋からの風当たりは、最近、極めて強い。売春など風紀を乱す元凶になっているという。先日も新聞で、北京ではなく広州の話であるが、こんな記事が出ていた。「市は、今後、盲人によらないマッサージ業は閉店させると同時に、理髪店でも頭以外をマッサージすることを禁止することにした」。


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