* 北京・街角の歌ごえ *
<天壇(6)>
将棋の踊りだけではない。天壇公園というところでは、いろんな人がいろんなことをやっている。なんでこんなことを、と思わずにいられないことも……。
「七星岩」というのがある。文字通り七つの石が置かれている。昔し北斗七星が降ってきた。それがこれだ、という。では、今ある北斗七星は何だ、ということになるが……。道教的に天界・地界の相を表しているともいう。風水による世界像ともいう。それはどうでもいいのだが、今問題なのは七つの石ではなく、それらを四角く囲っている鉄製の手すり。その手すりに、毎日、何十人ものお年寄りが取り付いている。取り付いて、手すりで足をこすったり背中をこすったりしている。
どうも、七星岩のご利益が狙いではなく、単に、手すりが問題らしい。
見ていると、三十分でも一時間でもこすっている。ひとりで黙々とこすっている人もいれば、仲間と和気藹々という感じでやっている人もいる。
血行が良くなる? まあ、これだけの人がやろうというのだから、何かの効き目はあるのだろう。それにしても、私が聞いてみたいのはただ一つ。足や背中を鉄の手すりでこするだけなのに、なぜ、わざわざ天壇公園に集まってくるの?
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