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* 北京・街角の歌ごえ *


<夏…木陰のまどろみ(2)>

 こういうのは「まどろみ」とは言わない。「まどろむ」というと、もう少し幻想的・隠微的でなければなるまい。集団で、しかも、セイウチが転がってでもいるかのように、開けっぴろげに熟睡しているのは何と言えばよいのだろう。
 それにしても中国人は、なぜ、こんなに昼寝をするのだろう。木陰があるところ、中国人の昼寝の姿あり。こんな感じだ。

 そう言えば、昔は、役所でも公司でも夏には昼寝の時間があったものだ。昼休みは二時間。机の上にうつ伏せになったり、イスを並べて横になったり、寝ていたものだ。ほんの十年ほど前までそうだった。こっちは忙しくて昼食も取らずに駆けずり廻り、仕事先の会社に飛び込むと全員が寝ている。そんなことがよくあった。
「なぜ、中国人は昼から寝るの?」
 こう言うと、
「なぜ、日本人はこんな暑いのに寝ないの?」
 と、言い返されたものだ。
 なるほど。汗かいて懸命に仕事をしたから何だって言うんだ。親方五星紅旗だ。みんなで、のんびりやろうじゃないか。昼寝は、その意味では、麗しい習慣であったのかもしれない。
 対外開放政策。市場経済の導入。競争原理の浸透。そういう道筋のなかで、いつの間にか、昼の時間は一時間に短縮され、昼寝はオフィスというオフィスから追放された。

 それでも、昼寝は生きている。街頭。木陰の下。風が吹くところに。行商人、三輪車引き、車洗いなどの肉体労働者が良き伝統を守っている? 北京の街のなかに、いつまで生き残るだろう。十年? 絶滅の危機に瀕したパンダみたいなものか。  

 それにしても、木陰に結ぶ彼らの夢は、いったい、どんなものなのだろう?


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