駅には甘えがある。 甘えには、二つの種類がある。ひとつは嬉しい甘え。ひとつは哀しい甘え。
ああ、帰ってきてくれてよかった。 「寂しかったんだから!」 彼女は、きっと、そういって甘えている。
同じ別れでも旅立つ方は、まだ、いいわよ。残る方は惨めよ。 「あなたのこと、足の裏で覚えておくわ」 彼女は、きっと、そういって甘えている。