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* 北京・街角の歌ごえ *


<夏の夕暮れ(2)>

 北京の夏の夕暮れ。
 暮れそうで、なかなか、暮れない。
 その暮れまどう街の片隅で、男が三人、うずくまるように寄り集まっている。ボロボロの服。遠くから見ているだけでもすえた臭いのにおってきそうな荷物。
 なにやら、札を数えている。  

 そう。彼らは乞食だ。社会主義の国に乞食はいるか? 最近、「中華人民共和国職業分類大典」というのが発表され、それによると現在の中国には一八三八種類の職業があるのだそうだ。「乞食」というのは一八三八種類のなかのひとつの職業にはいっているのだろうか?
 北京にはいろいろな乞食がいる。地下道の薄暗がりのなかで赤ん坊を抱え人々の足下にひれ伏し情けを乞う女の乞食。地下鉄の階段に腰掛け胡弓を弾いている老人の乞食。もうひとりの乞食に手を引かれて人混みを歩く盲目の乞食。乞食の姿は様々だが、彼らに共通していることがひとつある。白い琺瑯びきの缶を持っていること。ひれ伏した女乞食の足下に置かれているもこれ。盲目の乞食が「この中に金を入れろ」と人々の前で振っているのもこれ。
 儀仗兵には銃剣。。老人には鳥籠。乞食には白い琺瑯引きの缶。中国では、どうも、こう言うことらしい。  

 今日の稼ぎはどうだったろう? 
 金を数える乞食たちの上にも、夕闇が次第次第に降りてくる。そのなかで、土手に置かれた琺瑯引きの缶の白さが鮮やかだ。


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