街角の歌声メニュー 旅チャイナ・トップ 中国旅行大全・北京編 ホテル大全
レストラン大全 『雑踏に酔う』・試聴 三輪車胡同巡り 格安航空券

* 北京・街角の歌ごえ *


<北京駅(5)>

 北京駅に着く人は、二つの方法で出迎えられる。ひとつは、ホームで。もうひとつは、改札の外で。

 どうも見ていると、次のようになるらしい。家族・友人、こういった近しい人はホームで出迎えられる。仕事の関係。こういった人は改札の外で出迎えられる、と。ホームで列車の到着を待っている人にプラカードを持った人などは見たことがない。一方、改札の外には、列車が着く時間になると、プラカードが林立し、ステッカーが両手で掲げられることになる。それらの文字を見ると、達筆の筆で書かれたもの、ワープロで印刷したもの、マジックインキで乱暴に書き殴ったもの。様々だ。
『気功之会』、『二十一世紀人口問題戦略研討会』、『斉斉哈爾 張西龍先生』。そこに書かれている標示も様々だ。これらの様々さは、きっと、この世の様々さなのだ。迎える人。迎えられる人。迎える形。迎えられる形。

 先日、『雲南茶葉行業』と書かれた紙を見た。持っているのは、中国人には珍しく口ひげを生やした中年の男だった。片手で、いかにも面倒臭そうに、頭のうえに挙げていた。お茶さんか。何気なくこう思っていた。数分後、彼が引き連れて行ったのは、娘さんばかりの一群だった。十二、三名だろうか。みなまだ二十歳をこえてはいまい。誰もが布の袋を背負っている。「そうだったのか」。列車は昆明から着いたのか。最近雲南の少数民族の衣装を着てお茶の葉を売り歩いている娘さんをよく見掛ける。彼女たちは、これから北京でその仕事をするのだ。あのヒゲの男は、その北京の手配師なのだ。
 男と娘たちは、一列になって、夕暮れの雑踏のなかに消えていった。見知らぬ他人にすぎないが、それでも、「悪い男に騙されず、しっかりお金を稼いで帰れよ」。こんな言葉を掛けてやりたい。そんな感傷的な気持ちにさせられる一瞬の擦れ違いだった。


街角の歌声メニュー 旅チャイナ・トップ 中国旅行大全・北京編 ホテル大全
レストラン大全 中国で本を出版 三輪車胡同巡り 格安航空券