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* 北京・街角の歌ごえ *<北京駅(5)> 北京駅に着く人は、二つの方法で出迎えられる。ひとつは、ホームで。もうひとつは、改札の外で。
どうも見ていると、次のようになるらしい。家族・友人、こういった近しい人はホームで出迎えられる。仕事の関係。こういった人は改札の外で出迎えられる、と。ホームで列車の到着を待っている人にプラカードを持った人などは見たことがない。一方、改札の外には、列車が着く時間になると、プラカードが林立し、ステッカーが両手で掲げられることになる。それらの文字を見ると、達筆の筆で書かれたもの、ワープロで印刷したもの、マジックインキで乱暴に書き殴ったもの。様々だ。
先日、『雲南茶葉行業』と書かれた紙を見た。持っているのは、中国人には珍しく口ひげを生やした中年の男だった。片手で、いかにも面倒臭そうに、頭のうえに挙げていた。お茶さんか。何気なくこう思っていた。数分後、彼が引き連れて行ったのは、娘さんばかりの一群だった。十二、三名だろうか。みなまだ二十歳をこえてはいまい。誰もが布の袋を背負っている。「そうだったのか」。列車は昆明から着いたのか。最近雲南の少数民族の衣装を着てお茶の葉を売り歩いている娘さんをよく見掛ける。彼女たちは、これから北京でその仕事をするのだ。あのヒゲの男は、その北京の手配師なのだ。 |
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