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<安徽省・屯渓>
黄山の麓。明・清時代の街が残っている。「老街」という。明・清に宋の時代の特徴をまねて造られた建物が多いことから「宋街」ともいう。長さ八百メートルの道の両側に三百件の店が並ぶ。一階が店で二階が住居。明・清時代の建物……。江南地方と同じように白い壁に黒い瓦。家と家の境に、馬頭壁と呼ばれるしきりがある。
なるほど、美しい。
かつてこの地は多くの豪商を生んだ。農地が少ないため揚州などへ出稼ぎにいき、そこで塩の取引で儲けた商人たちであった。故郷に錦を飾りパトロンになる。そのため各地から文人が集まり文化の花が開く、そういう街であったという。
今でも文房四宝、書画骨董、陶器の店が多いのはそのためだろうか。
美しいだけではない。古いだけでもない。博物館のように保存されているのではなく、人々がそこで暮らしている。書画骨董の店の隣に漢方薬屋があり、茶屋があり、筍や菊の花を干した乾物を売っている店がある。街に人々の生活の匂いがする。そういう魅力だろうか。
朝、節を付け歌うようにして自転車で何かを売り歩いている人を見かけた。その声を聞きおかみさんがお椀をもってやってくる。尋ねると「豆腐乳」だという。豆腐を醗酵させたものだそうで、こちらでは朝食に食べたり、マントウと一緒に食べたりするという。
節をつけ何を言っているのかといえば、「豆腐乳を食べてさえいれば健康間違いない」、そんなところだそうだ。
何とものんびりしたものだ。
数百年前の古い街並み。白い壁、黒い瓦。そこで節と一緒に売られる「豆腐乳」。軽やかな旅情の街である。
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