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<北京の春節>
春節を迎える街の雰囲気は一種独特なものがある。
所謂旧正月。そう、中国では正月を農歴で祝う。何週間も前から街全体が華やいでくる。あちらこちらに大きな赤い提灯が飾られ、店先には春節ならではのものが並ぶ。赤いひもで様々な模様をあしらった「中国結び」。「窓花」と呼ばれる窓に飾る切り紙細工。「春聯」もある。
昔から、一対のめでたい詩句を二枚の縦長の紙に書き門に貼り付けておく習慣がある。それを春聯という。新しい春聯を貼るのは、年に一度、春節の時である。「さあ、春聯を貼るよ」。お爺ちゃんが孫たちに声を掛ける。孫たちは走って門に集まる。何代にもわたり繰り返されてきた大晦日の光景である。
大晦日には家族が揃い餃子を包む。遠くに暮らす息子も孫を連れこの日を目指し戻ってくる。それが大晦日。
一夜明けると正月。年寄りは子供や孫の挨拶を受ける。子供たちは赤い袋に入ったお年玉をもらう。そして揃って廟会に行く。道教のお寺だったり、チベット仏教のお寺だったり、公園だったりする。場所は問わない。人が多ければそれでよい。人が雑踏をなし、雑踏が人を呼ぶ。
太鼓あり笛あり踊りあり。誰もが浮かれている。浮かれるためにここに来る。猿回しがいて、コマネズミを使った芸があって、人形劇もある。若者は高さ二メートルの竹の下駄を履いて「高脚踊り」、おばちゃんたちは扇子を振って「収穫踊り」。観る方も楽しい、やる方はもっと楽しい。
射的に興じ、弓矢や輪投げに歓声が上がる。独楽にデンデン太鼓、凧、風車、飴細工、綿飴。焼きそば、トウモロコシ、シシカバブー。
オモチャ箱をひっくり返したようだ。楽しいことがグジャグジャになってばらまかれている。春節の廟会の雑踏は春を迎える喜びであり、北京の味わいである。
(中日新聞・東京新聞の2003年2月23日日曜版に掲載)
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