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<新疆ウィグル自治区・トルファン>

 トルファンはウィグル族の街だ。中国大陸を西に向かって旅する。蘭州、酒泉、敦煌、ウルムチ、トルファン、クチャ……。「遠くへ来たな」。トルファンまで来るとつくづくそう感じる。ウルムチまでは漢族の街、だがトルファンは違う。碧い眼に立派なあご髯のウィグルのお爺さんがロバの背に揺られ土埃の道を行く。バザールには赤や黄の香辛料、幾何学模様の絨毯、西域の民族楽器、ナイフ、ウィグルの帽子などが異国情緒を漂わせながら所狭しと並べられている。道行く人、売られているものを見ているだけでも心が弾んでくる。

 トルファンは葡萄の街でもある。収穫は夏。砂漠の上の灼熱の街だ。夏は軽く四十度をこえる。吹く風は砂まじりの熱風。その熱砂と熱風のなかで葡萄が実をつける。八月、街は葡萄で溢れる。人々が手に持つ籠は葡萄で一杯だ。行き交う馬車の荷台も葡萄の籠で一杯だ。葡萄園に吹く風も灼熱の大地を渡る熱風であることに変わりはないが、それでもどこか甘い香りをはらんでいる。そのなかで、明るい縦縞のワンピースのウィグルの娘たちや四角い小さな帽子をかぶった子どもたちの手で葡萄の房は摘み取られてゆく。

 口に含むと、奇跡のようにみずみずしい。粒は縦に長い楕円。色は薄緑。よく見れば、珠のようだ。灼熱の大地が、よくもこんなに美しい果物を産み出したものだ。

「葡萄の美酒、夜光の杯」。唐の詩人のこんな句を思い出す。そして合点する。「とんでもなく遠くへ来てしまったな」。この句の味わいも、そういう驚きにあるのだ、と。

 いろいろな季節に訪れてはいるが、何と言っても夏が一番だ。灼熱の大地があり、熱風が吹き、そこに陽気なウィグル人がいて葡萄を摘む。トルファンで見る葡萄の一粒は、西域のエキゾチシズムを凝縮させたように美しい。

(中日新聞・東京新聞の2001年9月9日日曜版に掲載)


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